武豊考

巷では武豊はもう終わったという人もいる。根拠としては概ねG1を勝てなくなったかららしい。そういう方は今日の京都記念で思い知っただろう。
武豊が最近のG1で勝てないのには理由がある。
勝てる馬に乗ってない。
それだけのことだ。
去年のG1での騎乗馬をみてみよう。データは順にレース名、馬名、馬主、生産者、人気、着順だ。

フェブラリー メイショウタメトモ(松本好雄、斉藤英) 12人 13着
高松宮 サンダルフォンノースヒルズ、滝本健二) 12人 13着
桜花賞 エーシンハーバー(栄進堂、マル外) 8人 14着
皐月賞 ダノンバラード(ダノックス、ケイアイF) 8人 3着
春天 ローズキングダム(サンデーR、ノーザンF) 2人 11着
NHK クリアンサス(サンデーR、社台コーポ) 10人 16着
ヴィクトリア アプリコットフィズ社台RH、社台F) 5人 17着
ダービー ロッカベラーノ(吉田照哉、社台F) 12人 15着
安田 クレバートウショウ(田邉正明、アイオイF) 8人 4着
宝塚 ビートブラック前田幸治ノースヒルズM) 12人 11着
南部杯 ボレアス金子真人HD、ノーザンF) 5人 11着
秋華賞 デルマドゥルガー(浅沼廣幸、ファニーヒルF) 6人 6着
菊花賞 ショウナンマイティ国本哲秀、矢野牧場) 8人 8着
秋天 ナリタクリスタル(オースミ、社台コーポ) 13人 7着
エリザベス レディアルバローザ(ロードHC、ケイアイF) 11人 17着
マイルCS クレバートウショウ(田邉正明、アイオイF) 16人 17着
JC トレイルブレイザー前田幸治ノースヒルズM) 11人 4着
JCD ラヴェリータ前田幸治、マル外) 10人 4着
阪神JF サウンドオブハート(ターフS、タイヘイ牧場) 1人 3着
有馬 レッドデイヴィス(東京HR、ノーザンF) 6人 9着

まともに勝負になると思われる3番人気までの馬にはたった2回しか乗っていない。5番人気まで広げても4回(うち1回は実質交流G1)だ。
2010年は秋シーズンだけで3番人気以内に3回、5番人気以内だと5回騎乗している。
2009年には菊花賞までという実質春シーズンだけで3番人気以内に7回、5番人気以内に9回騎乗している。1番人気は4回もあった。
2008年以前は乗ればほぼ5番人気以内、半分ぐらいは1番人気か2番人気だ。
武豊が乗るから人気するというのもかつてはあった。しかし、武豊が乗っても人気しないほど勝負にならない馬ばかりに乗っているのも事実だ。
その原因は何か?
勝負になる馬に乗せてもらえないということなら馬主をみてみよう。かつて武豊でG1を勝った馬をここ10年分ぐらい載せてみた。

ローズキングダム(サンデーR)
ウオッカ(谷水雄三)
ヴァーミリアン(サンデーR)
メイショウサムソン松本好雄
スズカフェニックス永井啓弐
ディープインパクト金子真人HD)
ロジック(前田幸治
カネヒキリ金子真人HD)
エアメサイア(ラッキーF)
アドマイヤマックス近藤利一
タイムパラドックス社台RH
アドマイヤグルーヴ近藤利一
ダンスインザムード社台RH
ゴールドアリュール社台RH
ファインモーション(伏木田達男)
ビリーヴ(前田幸治
タニノギムレット(谷水雄三)

17頭中5頭が社台グループのクラブ馬だ。他ではノースヒルズ、谷水氏、金子HD、近藤氏が2頭。金子HDも近藤氏も社台グループから購入する馬が多く、ここに出てきた4頭ともがノーザンファームの生産馬だ。つまり、大半を社台グループの生産馬で勝っていたことになる。
去年も社台グループの生産馬には20回中7回乗ったが、勝ち負けできる人気の馬は春天ローズキングダム1回だけだ。
今世紀初頭はこうだった。2003年の騎乗馬とその生産牧場(めんどくさいから非社台は「その他」)だ。

フェブラリー ゴールドアリュール(追分F)
高松宮 デイスタービングザ(その他)※カク外
桜花賞 アドマイヤグルーヴ(ノーザンF)
皐月賞 サイレントディール(ノーザンF)
春天 ダイタクバートラム(その他)
NHK ゴールデンキャスト(その他)
オークス アドマイヤグルーヴ(ノーザンF)
ダービー サイレントディール(ノーザンF)
安田 アドマイヤマックス(ノーザンF)
宝塚 ダイタクバートラム(その他)
スプリンター アドマイヤマックス(ノーザンF)
秋華賞 アドマイヤグルーヴ(ノーザンF)
菊花賞 サクラプレジデント(その他)
秋天 モノポライザー(ノーザンF)
エリザベス アドマイヤグルーヴ(ノーザンF)
マイルCS ファインモーション(その他)
JCD ユートピア(ノーザンF)
JC サクラプレジデント(その他)
阪神JF マチカネエンジイロ(ノーザンF)
朝日杯 グレイトジャーニー(その他)
有馬 リンカーン(ノーザンF)

ほとんどノーザンファームである。これでよく2回しか勝てなかったもんだ(笑い)。
つまり、社台に干されて馬を回してもらえないというのが現状なんだろう。たまに乗っても勝負にならないようなレベルで。いい馬はアンカツ、内田や岩田のような地方出身騎手やユーイチなんかに回ってるんだろう。
今回、フェブラリーSでたまたま有力馬に乗ることができる。2番人気か3番人気だろう。今のお手馬を考えたら今年唯一のチャンスなんじゃないか? もっとも1頭だけちょっと敵わないかもしれないのが相手にいるが。